私の秘密の日記におもしろ表現が出てくることがある(らしい)ので抜粋して不定期連載します。
(妻氏の)ネームを連休中に仕上げねばならぬ。残りのページ数を聞いたら十ページくらいだと言われた。けっこうきついかもしれない。明日は来客が二回ある。どうすればいいのか。萩尾望都の自伝的漫画を読むと、絶食して紅茶を飲みながらネームをやるさまが描かれていた。moko氏も夜更かしをして深夜にネームをやるのは静かでお腹が減っているからだそうな。小林銅蟲もドカ食いをするとネームができるらしい。おそらくネームとはそういうふうに異常な状態へと自分を追い込まないと進まないのだ。そして、男性漫画家の場合はそれが致命的なやり方になるので五十歳で死ぬのである。女性の漫画家はなぜか絶食方向へ向かう。
萩尾望都はアシスタントがそっとおにぎりを出しておいてくれるので、それを無意識に食べるらしい。moko氏は静かなのが大事らしいので、ネームの雰囲気を感じたらまったく話しかけないようにしようと思う。(中略)というわけで、moko氏への餌やりを私がやることになった。パンはたくさんあるので、てきとうに焼いて横に置けばよい。紅茶もポットにつくりおきすることにした。それで机から出ないで作業ができるようにする。今やっているネームはもう終盤ではあるのだが、ネームのやり方を確立しておく価値は高いだろう。深夜にうまくいくということは、きっと萩尾望都の方式でよいのだ。
2021/08/15 の日記より