しゅみは人間の分析です

いらんことばかり考えます

週報2022/02/13 漫画のネーム, 日本でモルモットは野生化できるのか

近況

ネームペアプロ: 台詞や物語の筋を考えている

肩こり: ワクチン接種をして寝込んでいたら肩to首の筋肉が壊れた

労働

既存の設計に無理が出てきたので半壊させて組み直している

読書

読んだ

うつ病九段

棋士うつ病になって復帰するまでの体験記。おもしろかった。散歩するぞ散歩。

日本語とはどういう言語か

あまりにダメな本なので読むのをやめた。これは偏見ですが、年寄りの書く本の中には長ったらしくて全体像が掴みにくいものがある。

読んでる

雑記

漫画のネーム

妻氏は同人漫画を不定期連載している。当初は隔週で8ページずつ掲載する予定だったのだが、出力が安定しないので不定期ということにした。

漫画を作る工程はネームと作画に分けられる。ネームは漫画の設計ともいうべき工程で、ネームの時点でその漫画がおもしろいかどうかはわかる。ネームで描かれる絵は雑なものなのだが、コマ割りとセリフはほとんど決まっていて、慣れたらネームを読むだけで漫画の出来が想像できる。商業連載で編集がネームをチェックするのはそういう事情なのだ。

漫画ではネームを作る作業が一番大変だ。なにせ無から漫画のエッセンスを産み出さないといけない。また、セリフとコマ割りとカメラ配置、与える印象を同時に考える必要があるため、かなりの集中力が必要らしい。萩尾望都がネームをするときは絶食し、ひたすら紅茶を飲む生活をしていたらしい。たいへんな集中力がいるので、体調が良くないとネームはできない。妻氏はフルタイム労働をしながら不定期連載をしているので、睡眠の悪い日があるとネームはできず、工程がどんどん後ろにずれていく。作画作業は眠くてもできるらしいが、ネームだけは頭の冴えが大事なのだ。

不思議なことに、物語は書いてみるまでボリュームが分からないことがある。これは漫画に限らず小説や映画でも同じだと思う。小説や映画が世に出てきたら予定の尺をオーバーしていた話はよく聞くだろう。作者の頭のなかの物語は、どれだけ考えられたとしても曖昧なところがあるもので、具体的に描かれたときに、おもしろさやわかりやすさのために出来事を追加しなければならないことがあるのだ。こうして往々にして尺は伸びていく。

だが、おもしろくなるのならば尺は伸びても良いと思う。コンパクトに密度高くおもしろいのが一番ではあるが、無理に切り詰めてシーンを省いたり分かりにくくするよりは限界まで尺を増やす方がマシであろう。もちろんコンテンツの長さはコストに響くし、長くなると消費者の負担になるのでバランスは考えないといけない。これらを勘案し天秤にかけた結果出てくるのが諸々のコンテンツなのである。

日本でモルモットは野生化できるのか

いかにモルカーが人気になろうと現実のモルモットを知らない人は多いはずだ。我が家でモルモットを飼っている話をすると、いつもモルモットの大きさにびっくりされる。モルモットはキャベツから白菜くらいの大きさがあり体重は1 kgを超えるのだ。結構でかい。人々はハムスターくらいのサイズを想像していることが多い。

実際にハムスターを見たことのある人も多くはないと思われるが、なぜかハムスターのサイズは把握しているらしい。しかしハムスターのサイズにもバリエーションがあって、ロボロフスキーは小さいしゴールデンハムスターはでかい。とこのように、世の人々はたいへん大雑把な認識をしているものである。

さて問題は、というか今回考えたのは、モルカー人気で本当にモルモットを飼育する人が出てきて何割かは飼育放棄されるであろう、という問題だ。モルモットの飼育は結構大変で毎日掃除が必要である。ペットの飼育の大変さは様々で、ハムスターやスナネズミならば一週間に一回の掃除で健康が維持できる。エサと水のチェックは毎日やらないといけないがそれくらいだ。ほとんど世話はしていないけれど、なぜか家にいて生きておられる、というそういう生物である。

しかしモルモットは草食動物であるため食べる量と飲む量と排泄量が多い。つまりめちゃくちゃ汚れるのだ*1。これはちょっと調べたらすぐに出てくる情報ではあるが、飼育したいという感情は強いもので、これらの情報を無視して本当に飼ってしまう人も出てくるだろう。ちゃんと世話(毎日の掃除)をできるのならばよいのだが、世話を放棄する人も必ず出てくる。放棄したときに取る選択は、人に譲るか捨てるかである。

フランスでは毎年10万匹の犬猫が捨てられているという*2。フランスの場合はバカンスという習慣があり、バカンスの間に世話しきれないから捨てるパターンが多いそうだ。また、ヨーロッパは伝統的に動物の価値が低いのでこうなるのも不思議ではない。一方で日本の飼育放棄の実態はよく知らないが、想像力を欠いて衝動的に飼育し捨てる人もそれなりにいるだろう。であるから毎年数十匹のモルモットが野に放たれることは当然想定できる。

生態系が云々は置いておいて、モルモットが日本の野山で暮らしていけるのか考えてみよう。まず食べものについて。モルモットは様々な草を食べる草食動物だ。温暖な日本でならばそれなりに餌はあるだろう。問題は冬の間だろうか。南に行けばなんとかなるかもしれない。困ったら畑を荒らすと思う。

次に敵の問題がある。モルモットは草食動物で臆病であることから想像し得るように、原産地でも肉食動物の餌である。日本でも狐、蛇、猛禽の餌になるだろう。モルモットの攻撃手段はせいぜい噛みつくぐらいしかない。爪は大したことないし声も怖くはない。声はモルカーのアニメのとおりである。門歯で噛まれると痛いのだが、モルモットはあまり目が良くないので、ちゃんと敵に噛みつけるのかどうかは疑問がある。なので、モルモットが敵に見つかったらまず逃げるのが一番だ。逃げ足は早いので鬱蒼とした日本の森林ならば隠れられるかもしれない。

モルモットが定着するには繁殖をしなければならない。おそらくここが一番の問題だろう。げっ歯類はたくさんの子を生むものだが、モルモットは例外だ。一度に産む数は少なく妊娠期間が長い。典型的なネズミだと一度に10匹産むのは珍しくないが、モルモットは2〜4匹が相場である。普通のネズミは未熟な状態で産まれてきて、そのうち動き回れるようになる。産まれたばかりのネズミは毛がなく目も開いていない。赤くてぶよぶよしたネズミとは思えないような形態で出てくるのである。だが、モルモットは生まれたときからモルモットである(かわいい)。ただ身体が小さいだけで、産まれたときから大人と同じ餌が食べられる。

つまり、モルモットは繁殖効率が悪いためそう簡単に数を増やせない問題があるのだ。日本のような敵の多い環境だとこの特徴は致命的だろう。もしモルモットがカピバラぐらいの大きさ、強さであれば話は違うかもしれないが、モルモットは弱いので日本の原野に満ちることはなさそうである。