ロンドン
ごはん



ヒースローに着いた日、荷物を置いたらバラ・マーケットへ。昔からある市場で英国から集められたさまざまな農作物が買えるそうだ。変なきのこも売られていた。ここは京都の錦市場ほどは観光地化されておらず、いまだに地元民も買いにくるみたい。犬を連れた人もいたし。英国には犬が多かった。サイズは中型から大型犬。電車にも乗れるようで、この国では犬の権利が強いのだなあと思った覚えがある。

エコノミークラスで14時間缶詰にされ、朝7時に入国したので疲れて腹が減っていた。観光地価格ではあるが、この市場ならまともなものが食べられるだろう、と踏んでフィッシュアンドチップスを注文した。20ポンドくらい。4000円である。妻はフルイングリッシュブレックファースト。これもまた20ポンドだった。


結論から言うと、おいしくはなかった。一口目は「噂と違っておいしいじゃないか」と一瞬だけ思ったのだが、食べすすめて満腹中枢が満たされ、白身魚のフライが冷めていくうちに英国料理の本領が発揮されだした。何がまずいのか。
- 白身魚が小さいわりに衣が多すぎる
- 衣に味がついてない
- 魚にも味がついてない
- 油そのものがおいしくない
- 卓上のケチャップ、塩、マヨネーズが少なすぎる
- つけ合わせの豆、ポテトも味がなくて単調
という感じ。まずくはない。ぜんぜん食べられる。だけど不思議なおいしくなさがあった。旨味や食事の喜びに対する見解の相違がありそうである。
テラスハウス


ロンドンの中心部を歩いていると、長屋みたいな家がたくさんあるのに気づく。ドアがたくさんあって、別個の家なのに壁は共有していて建物としては一個になっている。これは長屋だ。調べてみると、ヴィクトリア朝時代にたくさん家を供給するために作られたものらしい。テラスハウスと呼ばれる。
今回泊まった宿もテラスハウスの一画を改装した家だった。壁を隔てた隣はまた別のホテルになっている。一つのホテルには10部屋もあるかどうかで、地下(-1)から3階(+2)くらいまでしかない小規模なホテルだった。


合理主義
このホテル、チェックインもチェックアウトもなかった。事前にメールで玄関と部屋の暗証番号が送られてくるだけ。チェックアウトも部屋を空っぽにするだけ。そこそこおいしいイングリッシュブレックファースト(2, 3回なら食べてもいい)の朝食もついていたのだが、アジア人向けにウェブアプリオーダーシステムも整備されていた。人を使わない形ではあるが、快適に過ごせるよう気は使われていて、無駄なく合理的である。

その精神がよく発揮されてるのが地下鉄。undergroundが正式名称でtubeとも呼ばれる。なぜtubeなのかというと、丸い穴が空いているだけだからだ。トンネルマシンで丸く掘ったあと、壁をつけただけのチューブに電車や通路を通す。電車はトンネルに合わせて丸い断面をしており実に合理的だ。地下鉄は深いところでは地下5階くらいのところを走っている。そのため移動に時間がかかることを懸念してエスカレーターが爆速設定になっている。ふつうの日本のエスカレーターの1.5倍、遅めのに比べると2倍はあると思う。でもちゃんと安全装置があり、エスカレーターの中央分離帯にあるボタンを押したら止まるらしい。




どんより

噂どおりロンドンはどんより曇り空が多かった。雨に降られたことも何度か。そのためなのかわからないが、緑地の整備に力が入れられている印象があった。マルクスの墓を見学しに行ったさい、隣のWaterlow Parkに行くと広々とした芝生が維持されていて、緑が多かった。冬なのに。散歩をするには良さそうな公園。大きめの犬が集まっていて、時にはリードが外されて野放しになっていた。


あと芯から冷えるような寒さもあった。京都に似た寒さで性能の良いダウンがないと耐えられなさそう。屋内は暖房がしっかりしてるからいいけど、停電したら耐えられないだろうな。

英語
何度かPoor Englishで困った。いちばん困ったのは入国するとき。どっから来たの、何しに来たの、を正確に聴き取れなくて何度か聞き返すことになった。そのくらいのリスニング能力です。
それなのに2日目にハリーポッターと呪いの子の演劇を観に行っている。妻がハリーポッターシリーズのファンで、ぜひ観たいとのことだったので。幸い、演出の魅力が半分くらいある演劇だったのでよく楽しめたが、うまく聴き取れなくてまわりが笑っているのに自分だけ???になることもあった。特に感情のこもった英語はむずかしい。
いちばん聞き取りやすかったのは、シャーロックホームズ博物館(ベーカー街 221B)のガイドさんによる英語。これが英国で聞いたなかでいちばん聞きやすい発音だった。
ほか、空港の保安検査やお買い物レジで英語を使ったが、こういうときは文脈がはっきりしているので何を言われているのかだいたい理解できていた。話者の人種やクラス、置かれた状況にもよるが、やはりリスニングはPoorであるなあ、と反省した。が、ふだんまったく使わない技術なのできっとこのままだと思う。


大英博物館・ナショナルギャラリー
大英帝国が世界中から持ってきたさまざまなものが集められていた。ロゼッタストーンやパルテノン神殿の像を返せと言われているのは有名な話。なんで返さないのかというと、収蔵物を放出してはならないという法律ができたかららしい。そんなめちゃくちゃな。
ナショナルギャラリーではリュックサックを前に持つように何度も注意された。英国は治安が良いほうだけれども、観光地ではそうでもないらしい。リュックにはTSAロックをつけてたからか特に被害はなかった。


歴史の古さ
ローマほどではないがロンドンも全体的に古い建物が多く、歴史がある。上述のテラスハウスは150年ほど前のものだ。地震がないし日本ほど空襲で焼けてないので残りやすいのだと思われる。景観規制もしっかりしてそう。


じゃあ新しい建物はどこにあるのか。ロンドン橋の近くには高層ビルがあるのを見かけた。人が住むでっかいマンションとかはロンドンシティ空港へ行く途中のDLR沿線にありそうだった。DLRとはDocklands Light Railwayの略で、Docklandsが地区の名前である。Dockとは船のドックのこと。港湾機能が衰退して空いた広い土地に景観規制を緩めた再開発地域ができたらしい。ロンドンの東側、海に近いあたりにある。

最終日にはHamleysというおもちゃ屋さんに行った。友人の子らにぬいぐるみでも買っておきたいな〜と思って入ったら1760年創業の世界最古の玩具店とな。思わず、かわいいぬいぐるみを大量に買ってしまった。





ローマ
治安
対策は準備記事のほうに書いた。ローマは治安が悪く、軽犯罪が多い。スリに注意せよとあちこちで言われている。貴重品をできるだけ持たないようにして、すべて首から下げ、上着のなかに隠すようにした(それでも5ユーロ入ったダミー財布が盗られた)。
実際に行ってみると治安云々だけでなく人が多すぎるのが問題だった。街全体が世界遺産みたいなもので、どこに行っても人がたくさん集まっているので人との距離が近くなる。気を抜いた隙にポケットのものを盗られても気づきようのない条件が揃っていた。


ごはん


おいしかった。おいしかった、けど、脂がきつかった。オリーブオイルが大量に使われているだけでなくチーズが多い。初日に予約したレストランで食べたパスタはオイルとチーズと塩漬け肉がふんだんに使われていて、それだけで満腹になってしまった。メインの肉を頼んでしまったのに妻に食べてもらうことになった。

2日めにふらっと入った店ではパスタとピザだけにした。これで十分だったしおいしかったが、妻の頼んだカチョエペペはチーズがきつかったらしい。羊乳系のチーズで香りと味が重く、しばらくこれ系の料理は無理だ、とまで言っていた。


ローマといえばアーティーチョーク料理である。花の蕾を食べる変わった食文化があるのだが、食べてみるとうまい。きのことたけのこに似た食感、味があった。アーティーチョークはパニーニにも挟んで食べるようだった。


マリトッツォも食べた。こちらの生クリームは日本のものとは違って砂糖が少ないらしい。ただの生クリームを挟んだだけなのが印象的。日本の料理は全体的に甘味が強い傾向がありそう。

エスプレッソを立ち飲みできるのが良かった。街のあちこちのバーと呼ばれるカフェバー屋さんがあり、コーヒーが飲める。エスプレッソ1杯1ユーロくらいで、注文したらすぐに淹れてくれる。カップで飲むこともあるし、テイクアウトもできる。日本にも欲しいな、と思った。切実に。



アモーレたち
いちゃこらしているカップルが多かった。ロンドンでは見られなかった光景。ローマに遊びにきた各国の人がいちゃこらしてるのか、イタリア人がいちゃこらしてるのかは区別できなかった。噴水とかサンタンジェロ城の屋上でアモーレカップルたちが目立つ。特にバックハグをしている人たちが多く、我々はタカアシガニと呼んでいた。タカアシガニはオスが長い脚を檻にしてメスを閉じこめ、手籠にする習性がある。バックハグはタカアシガニ的な所有である。サンタンジェロ城の屋上には夕暮れ時に行ったのだが、プロポーズをしたカップルもいた。ぼーっとしてたら拍手と歓声が聞こえた。タカアシガニがつがいになった瞬間である。



遺跡・教会・建築物

ローマ時代から建っているものが多くて技術力の高さに感心した。特にパンテオン。ローマ式のコンクリートで作られていて、2000年くらい建っているらしい。天井に穴が空いているのが特徴。どのローマ時代建築もそうだが、本来はローマの神々や皇帝のための建物がキリスト教的な用途に流用されている。教会もこれらの建築物も外側は地味なのに内部は派手。カトリック的なやり方で、天国の実在を示す意図があるのだろう。フレスコ画はどれも綺麗だった。これは行ってみないとわからない、写真では伝わらない存在感である。




賄賂

サンタ・マリア・マッジョーレ教会の売店でメダイ(お守り)と聖水瓶を買ったときのこと。売店のお姉さんが「あっちに行くと聖水を入れてもらえるよ」と言うが、どこで誰が入れてくれるのかわからなかった。しばらくうろうろしてみて社務所的なところに入りこんでみたものの無視された。そして、妻ががんばって通りがかった神父さんに頼んだらようやく聖水(祈りが捧げられた水道水)が入れてもらえた。このときお礼にキットカット抹茶味をあげた。カトリックでは上納物が大事だと聞いていたので。

まとめ
新婚旅行でロンドン・ローマに行ってみた。なんでも英語で書かれているロンドンは過ごしやすいが物価が高く、気軽にお会計が1万円を超えて生活が大変そうだった。景観や街作りは好きだし文化的にも親しみがあるのでまた行ってみたい。ローマは歴史があって荘厳な建築物、おいしいご飯が魅力だった。反面、治安の悪さで休まらないところがある。人が多いのもちょっと大変。
次に行けるのは何年後になるかはわからないが、おもしろい体験だった。機会があればまたどこか別の国にも行ってみたい。今後、欧州産コンテンツ(映像も人文学も)を消費するさいに背景への想像がしやすくなりそうでお金をかけてでも移動して良かったな、と思っている。
その他の写真コーナー















