AI効率化と意思決定のしんどさ

手を動かす仕事が減っている

いまソフトウェアエンジニア業界ではAI(主にClaude Code)のおかげで仕事が効率化されていっている。簡単なコードを書く業務はかなり減っていて、誰が書いても同じになるよね?というコードはAIにプロンプトを投げるだけで思っていたとおりのものが出てくる。とても便利だ。もちろん何も考えずにすべてをAIに任せられるということはなくて、良い結果を得るためにはプロンプトをよく練る必要がある。また、何度もダメ出しをして細かいフィードバックを重ねるのも大事だ。便利ではあるが、良くも悪くもAIを操縦する人の腕前で成果が大きく変わる。

意思決定の連続

なにがしんどいのか。頭をフル回転させなければならない時間が増えてしまったところ。これまでのソフトウェア開発では、最初の設計や方針検討のタイミングで深く考え、そのあとは手を動かしながらゆる〜く頭を使うことが多かった。設計ミスやバグがあればまた深く考える必要はあったが、総じて「やればできる」タイプの仕事が多かった。ところが、今は設計や検討をしてプロンプトをAIに伝え、Slackを少し眺めたらすぐに結果が返ってきて、また検討や軌道修正、結果の確認をするような業務に変わっている。手を動かすところが少なくなり、頭をしっかり使う時間が増えてしまった。以前と比べると、意思決定を伴う頭脳労働の密度がかなり高くなっている。

意思決定はたいへんだ。どこぞのCEOが意思決定に使える体力(MPと言ってよいだろう)を維持するために着る服を固定にしておくという話があるくらいだ。脳に大きな負荷がかかる労働なのである。

AI体調不良

労働の質が変わった結果、体調に異常をきたす人が増えてきた。以前にid:uiureo氏が書いたブログ記事もそうだし、私の同僚や私もそうである。労働してると前頭葉のあたりがじわじわしてきて、ひどいときには瞼が勝手にピクピクする。ひどいストレスだ。こんなに密度の高い労働はしたくない。

少し休めばいいのでは?サボればいいのでは?まったくその通りである。だが、ソフトウェアエンジニアは効率化が大好きなのだ。いかに少ないリソース(=コスト)でシステムを安定的に動かすかを生業にしているプロ集団であるから、自分の業務それ自体も最適化の対象なのである。AIによって業務が効率化されるならば、労働時間の許す限り出力を高めようとする。ときに自分の体力(MP)リソースがどれだけ残っているのかも認識していないから、身体症状が出るまで過集中してしまうのだ。

今後どうなるか

このままAIを活用した開発手法が一般化していくと、以前の3倍くらい(数字はてきとう)のスピードで機能を作りリリースしていくのが当たり前になるかもしれない。みんな3倍速が当たり前になるので、手を抜くと置いていかれるかも、という恐怖心が出てきてみんなで消耗する未来が見える。そしてもっとAI技術が進歩すると、さらに効率が上がって意思決定の密度が増えるかもしれない。ちょっとそれは耐えられないのではないか。だってソフトウェアエンジニアは日がな10時間椅子に座っているような人種である。いきなり体力を増やせと言われても無理だ。運動習慣とかで脳の過集中連続稼働時間て増えるの?それならするけども。

みんなでサボって雑談でもしましょうよ

マッチョな組織ならば経営者から末端まで、みんなで3倍速労働になったらいいと思うけど私は嫌だ。せめて2倍くらいで許してもらって、余った時間はチームビルディングとか組織文化の醸成に使いたい。どうせ偉い人は余った工数で新規サービスをやらせたがるのだから、そのためのネタを発生させるためにも雑談はどんどんやったほうが良い。できれば対面の会話で。