近況
春の体調は気まぐれなようで、調子の良い日と調子の悪い日が交互にやってくる。鍼の先生によると、体力が減り自律神経が乱れるのが春なのだと言う。
それなりに暖かくなってきたおかげで持病の冷え性は楽になっているが、まだ油断はならない。京都の四月は寒いのだ。過ごしやすい季節は春の終わりから初夏にかけてだと思う。夏は暑すぎるし秋は存在しない。冬は厳しい。なんでこんな場所に住んでいるのだろうか。気に入ってはいる。
仮想ヒール
先日、社交ダンス用の革靴を買った。踊るときには靴の滑りが大事なので、靴があるとといいよと言われていたのだ。この靴は初心者用で安価なものだが、ダンス用に設計されているだけあってたいへん踊りやすく、また歩きやすいものだった。あまり信じてもらえないかもしれないが、社交ダンスのステップはただ歩いているだけ、とも言えるのだ。極論すると、踊るのも歩くのも同じである。この靴を履いて歩いていると自然と背筋が伸びるのを感じた。なんでいつもの靴と違うのだろうと思って観察すると、それなりの高さのヒールが付いていることに気づいた。
ヒールが付いていると背筋が自然に伸びて猫背になりにくくなる。歩くときのフォームもきれいになる。そういえば数年前に猫背矯正の歩き方指導を受けていたとき、重心はつま先に近い位置にすべし、と言われたのを思い出した。ヒールがあると自然とつま先に近い重心が取れるのだ。
ヒールで歩く体験をしたことで、重心の感覚が変わってしまった。そしてヒールのない靴を履く時も重心を前寄りにし始めた。普段室内で履いているスリッパはぺったんこだし、外履きの靴も普通のスニーカーである。靴が平くてもヒールがあるかのように振る舞うと自然と背筋が伸びることがわかった。膝の裏の筋肉もよく伸び、股関節も少し柔らかくなった。猫背の後遺症が一つ解決できる気がした。
できれば普段もヒールのついた革靴を履きたいなと思うようになった。そう思って鍼の先生に相談すると、「ヒールはあるとよいけど、調子に乗って革靴で歩きまわると足を痛めるので変化は少しずつにしたほうがいい」と言われた。確かにこのところ足の筋肉が毎日痛い。おそらく筋肉のつき方が変わりつつある。新しい重心に慣れ、筋肉が変わってから買うのが良いだろうと思い直した。
労働
実装しまくりの週だった。golang 1.18に上げたのでgenericsも書いていくのだろう。しばらくは機能実装が詰まってるので遊べないが。
読書
読んだ
- 現代思想入門:読みやすくて粒度がよい入門書だった。
- 書くためのアウトライン・プロセッシング:アウトラインプロセッサー伝道師の本。アウトラインプロセッサーで文章を書くときのポイントが解説されてる。
雑記
停電するかも事件
先週の停電するかも騒動を興味深く見守っていた。
そもそも何で首都圏が停電するかもという話になったのだろうか。直接の原因は地震で発電機が減ったことだが、中期的な問題は東京電力の柏崎刈羽原発の管理が雑で、再稼働が困難なところにある。そして、そもそも論としては電気が(たくさん)貯められないことも問題である。
素朴に考えると電気はバッテリーに貯められるじゃないか、と思うのだが、大量の電気を貯めるのは未だ難しい問題なのだ。理由は割と単純な話で、電気とはエネルギーであり大量に貯めると危険で管理しづらいものになるのである。巨大なエネルギーは解放されると周囲を破壊する。エネルギーを一箇所に貯めるのは危険なのだ。テロの標的にもなるだろう。
それでもエネルギーは貯めたいので、いろいろな方法が発明されてきた。電気をそのまま貯めるのが蓄電池で、リチウムイオン電池が出てきてから我々の生活は一変した。しかし、リチウムイオン電池は爆発しやすい。スマートフォン程度のバッテリーでも爆発的に燃えるので、都市レベルのエネルギーを貯めるには向いていないだろう。化学エネルギーで貯めておくのが石油とかガソリンである。言うまでもなくこれも危険なので、専用の資格と専用の設備がある。火力発電は石油やガスを貯めておく形式である。あとは運動エネルギーがある。変わり種のフライホイール蓄電だ。SF作品でたまに出てくるもので、巨大質量の円盤を回転させることでエネルギーを貯める設備だ。まだアイデアと実験の段階で実用化されていない認識である。そして、位置エネルギーとして貯めるのが水力発電、揚水発電である。これが今回の騒ぎで命綱になっていた。
つまり電力会社は電気を貯めておくのに最適なのは、リチウムイオン電池その他ではなくダムだと判断しているのだ。少なくとも今の技術ではまだそうらしい。確かにリチウムイオン電池で大量の電気を貯めようとするとコストが高くなるだろうし、電池を大量に並べると、データセンターのハードディスクみたいに毎日どこかの電池が壊れ、爆発するだろう。そう考えると確かにダムが最適なのだろうなと思った。ダムは枯れた技術だし溜められる位置エネルギーの量も相当なものである。エネルギー貯蔵だけでなく洪水対策や干魃対策にも使える。日本には山が多くて産業に使いづらい土地が多いので、ダムでエネルギーを貯めるのは土地に合っているのだろう。ただし、どこにでもダムを作れるわけではない。川がないといけない。もしかすると主要な川の上流にはもうほとんどダムができているのだろうか。となると、これ以上のエネルギーの貯蔵場所を簡単には増やせなくて、やはり我々の電気に依存した生活は先行きが暗いものになるだろう。
電気はどんどん大事になっている。私の仕事の全ては電気がないと成り立たない。ソフトウェアエンジニアは電気がないと無力である。また、すべてのインターネットサービスは電気のうえに成り立っている。社会の方でもオール電化の住宅だとか電気自動車がもてはやされている。しかし、これらの生活は紛争地の石油やガスに依存していることがこのところ明らかになってきた。今後この生活がまともに続くのかどうか少し不安になるものである。
というわけで節電意識が少し高まってきた。我が家の電気代について振り返ってみたところ、ペットのためにエアコンをつけっぱなしにしている限り電気代が簡単に下がらないことがわかった。色々と電化製品は持っていて使っているが、1年を通して寒い時期の電気代が一番高い。つまり住宅の断熱が本質的な問題なのだ。アルミサッシが滅べば良い話である。これは引っ越すことでしか解決ができない。あるいは大家さんの気が変わって樹脂サッシに入れ替えてくれるなら最高なのだが、まあそんなことは起きないだろう。