4/20(土)
初期値依存性
さいきん土曜日は寝てばかり。平日で何か消耗しているらしい。やったことと言えば庭いじりと読書くらい。
ベランダの大改造をした。
一年前に引っ越してからこんな配置だったのだけど、さいきん鉢を増やしたら洗濯担当大臣の妻氏が「邪魔」と言ってきて領土争いになった。
初心に戻って配置を考えたところ、サンドイッチ構造なのがおかしいのに気づいた。挟んでいる意味がない。洗濯物ゾーンを右二つにして余ったところを園芸ゾーンにした。
間取りは初期配置の影響を受けやすい。引っ越してきて「とりあえず」で置いたものが数年そのまま陣取り「なんか狭いな」となる。ほんとうはそこに置かないほうが広く使えるのに生活してると気づけない。それくらい自明性を疑うのはむずかしい。
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『センスの哲学』を読んだ
千葉雅也による美的判断の哲学書。前半が「センスとはリズム感*1だよ編」で後半が「その人固有のリズム感があるからそれを大事にしてね編」である。「固有のリズム感はみんな持っていて眠っているだけだから、目覚めさせるのが大事だよ」とされる。
個人的には「わかるわかるそうだよね〜」となる話だった。千葉氏が著書やツイート、noteでエッセンスを語ってきたのだと思う。影響され、自分で考え、創作をしてきて自然と『センスの哲学』の結論部分はすでに身につけてしまっていた。
「すべてはリズムだ」と言い切ってくれたのはよかった。生活にも、コミュニケーションにもリズムがある。我々は他者とリズムが違うのに一緒に仕事や生活をする。自分だけリズムを変調させて相手に合わせることもあるし、互いに変調させていい具合の落としどころを見つけられることもある。それでもリズム感の違いから伝わらないものごとが出てくるのが人間の不思議なところだ。
千葉氏と私のリズムはけっこう違っていて、合わないところがある。特に『エレクトリック』以降の文体。どうも私は速いリズムを好むようで千葉氏のゆったりしたリズムにノリきれないところがある。言ってることはある程度わかるし、おもしろいのだが、リズムは違う。これはもうどうしようもない差異であるから千葉氏は自分のリズムを大事にしていって欲しいし、私も変調しきれない点については諦めようと思う。それが本書の結論でもあるから。
4/21(日)
キャラを知るのが目的
一日中雨の予報。早めに食料の買い出しをして降られずにすんだ。あとは家でだらだらする。掃除をしたり漫画や小説を読んだり。
漫画はフリーレンを読んでいた。三巻くらいで止まっていたのだが、SNSでよく見かけるキャラを知りたくて読んだ。ゼーリエとユーベルとメガネくん。試験編が終わったら満足したが、惰性で続きを読む。
小説は『グレート・ギャッツビー』を読む。おもしろすぎて魔力があるタイプの物語で、没入する時間が用意できないために一章ずつ読んでいる。時間を忘れて本を読む日を作ったほうがいいかもしれない。
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夜はインドカレーを作った。生姜を切らしていて生姜粉で代用したらコレジャナイ味になるし、玉ねぎをフードプロセッサーで粉砕したら焼き色がつかなくてダメだった。料理は難しい。お昼もシンプルなパスタを目指して実験をしたが、オリーブオイルとマスタードだけだと旨味が足りなかった。パスタはチーズかバターが必須なのではないか。
4/22(月)
130bpmが自分のリズム
在宅勤務。やるべきことが多くてうおーっと作業をしてたら20時になっていた。10時間労働である。飛ばすもんじゃあない。月曜日の体力だから元気に退勤できたけれども。
さいきん音楽を聴きながら設計、実装、ドキュメント執筆をするようにしている。昔からダンスミュージックを聴くと作業が捗るのだ。受験勉強時代からそう。iPodにお気に入りの曲を入れ、SONYの有線イヤホンで聴きながら数学や国語の過去問を解いていた。そうしないと自習ができなかった。
今も同じだ。130bpm前後の曲のプレイリストを作ってひたすら聴き続ける。どうもその辺のテンポが自分のリズムらしい。聞いているのは楽器の音だけで歌詞には興味がない。リズムがあってたまにギターやシンセサイザーの音が鳴っていたらそれでいい。音量は小さめ。大きいと集中を乱してしまうようだ。そうやって音楽をメトロノームみたいに使って仕事とか趣味の書きものをしている。たぶん読書もできるんじゃないかな。
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ポエム記事は愚痴だった
ひとむかし前のこと、ソフトウェアエンジニア界隈で「ポエム」と呼ばれるブログ記事が流行っていた。今も書いてる人たちはいるのかもしれないが、あまり見かけない。ポエムは燃えることが多かった。今の炎上とは違って、長文記事がたくさん投稿される形だったけども。
「あれはなんだったのか」とふと考え「単なる愚痴だったのだ」と納得した。愚痴という言葉で言いたいのは、問題解決になっていないということ。職場の問題であれば上司を使って何らかの行動に移すべきだし、他人の行動を変えたいのであれば自分から率先して範を示すしかない。ただポエムを書いて人の行動を変えようなんてそんな無理な話はない。人は人の言うことなんか聞かない。ただ真似をするだけだ。
4/23(火)
湿気にやられてよぼよぼ。会議祭りをこなし資料作成、実装など多岐にわたる活動をした。もうすぐ連休!
フリーレンは最新巻まで読み終わったので無料公開中の『宝石の国』を読み始めた。ついに最終話が出たらしい。
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プログラミングのセンス
プログラミングにおけるセンスとは何か。「高凝集疎結合なデータ構造の美しさがわかっていて、そのように作れること」である。
高凝集疎結合なデータ構造がなんであるかを非専門家に説明するのは無理なので例え話にする。プログラマは部品を作り、部品を集めて大きなものを作る。ある部品が使いやすい=「UIがよい」ときその部品は高凝集疎結合だと言える。
UIがよい機械は内部構造を知らなくても使い方がわかる。例えばカメラ。中身は複雑なのにボタンを押すとなぜか写真が撮れる。われわれプログラマは同僚(または過去の自分)が作った「カメラ」部品を使ってより大きな機械を作るような仕事をしている。月面探査機かもしれない。大きなものを作るときには「カメラ」部品のボタンの押し方を知っていさえすれば良くて、必ずしも中身を知っている必要はない*2。そのため、同僚(および未来の自分)のためにすぐれたUIの部品を作るのがセンスのよい仕事である。
センスを磨くには忍耐と経験が必要で、センスの良いコードをたくさん読み、真似して書いていくしかない*3。センスを良くするのに経験の量が必要なのはどんな専門分野でも同じだろう。
言語によってセンスの良し悪しがあって、私のおすすめはRubyである。Rubyは明らかにmatzのセンスが秀でている。今はRubyが主流かというと微妙だが、Rubyをいっぱい読み書きするのがセンスを磨く近道かもしれない。
4/24(水)
川はただ流れている
睡眠時間が足りないなか出社しウトウト仕事をこなす。
同僚と「チャットのログ(と仕事)が溜まりまくるから休みにくくなってきている」と話す。昔は好き勝手に「なにもしたくない休暇」を突然入れていたというのに、今や月に一回も休まないことが増えている。休んだほうがいいし、このままだと有給が溜まっていき消滅してしまう。どうしたものか。
同僚と話していくうちに「チャットのログや会社のお仕事は川みたいなもので、川が流れていくのに構ってもしょうがない。子供とか犬が溺れていたら救うべきだけども、なんもないなら流れるに任せる。全部掬わなくてもいい」という言語化がなされた。
社会は川である。われわれは川に浮かぶ小舟である。
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『グレート・ギャッツビー』を読んだ
過去の関係を取り戻そうとするギャッツビーが二つの不倫関係に巻きこまれて破滅する物語。起きている出来事はドロドロ人間関係の悲劇なのに語り口、人物描写がさらりとしていて読みやすかった。簡潔なのに人物には重さがあり印象に残る。
4/25(木)
Y1000のおかげなのかよく眠りスッと起きられた。なのにお腹が壊れたり猛烈な眠気にやられたりと自律神経が暴れる日でもあった。
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料理のSN比
家に移動して仕事をしていたら妻氏が何かしらのお仕事イベントで打ち上がってしまった。外へ食べに行っても良かったが料理実験用パスタを作って満足する。先日バターと野菜、肉だけでパスタを作ったらえらいおいしくできた。ではバター、チーズ、オリーブオイルで作ったらどうなるか。おいしいがおいしくなかった。
不思議なのだが、食べものはおいしいものを入れまくったらいいのではないらしい。「旨味の暴力」みたいな作り方をすると、味が飽和するのか逆によくわからなくなる。
そういえば稲田俊介の『食いしん坊のお悩み相談』でも
「食べやすい/食べづらい」「クセがない/クセがある」「旨味/マズ味」、そういうコントラストのバランスがおいしさの大事な要素ではないかと僕はずっと思っていて、それをsmooth/roughという統一概念で説明できないかとずっと思いつつ、まだなかなかうまく言語化できていません。
p.75
とあった。
ブログにも同様の記事がある。
またここにも「要はバランス」が。
4/26(金)
おりゃーっと仕事をして帰ろうとしたらアラートが鳴った。われわれサーバー開発者は24時間365日動くものを作っている。アラートが鳴ったら即座に臨戦体制だ。勤務時間中でよかった。
そんなにやばい事象ではなくて設定変更で解決。こうしてGWに突入した。
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『宝石の国』を読み終わった
仏教のお話だった。「作者は人間嫌いすぎでは?」みたいな感想がよく見られるのだが、仏教の教えが「すべては無です」「無に還りましょう」なので、こういうお話になるのは仕方ないと思う。筋の通った良い作品だった。