しゅみは人間の分析です

いらんことばかり考えます

週報 2024/07/21 独房の誕生

7/20(土)

料理をしまくった日だった。昼にお好み焼き、夜に餃子。

お好み焼きは広島風にする。
決して「広島焼」と呼んではならない。コテが宙を舞うぞ。

なんと五層構造

作り方は簡単。小麦粉を水で溶いたやつでクレープを作ってキャベツと豚肉を乗せ、ひっくり返して蒸す。蒸してる間に空いたスペースで目玉焼きと中華麺を焼いて、目玉焼きに焼きそばを載せる。目玉焼き焼きそば体にクレープ豚肉キャベツ体を載せて合体させ、上下をひっくり返したら完成。キャベツが半玉くらい入る料理で健康的。腹持ちもする。

「広島焼」と言いかけると睨みつけて検閲がなされる和やかな食卓

🥚🥚🥚

混ぜるだけ

夜は餃子。皮から作った。粉に対して50%の水と塩1%で練り、塊にしたらしばらく冷蔵庫で寝かせる。具は豚ひき肉にキャベツ、生姜、ニンニク、塩、醤油、胡麻油、紹興酒を入れて混ぜたもの。

これも切って混ぜるだけ

今回はオーソドックスな具にしたが餃子の中身はなんでも良い。ダンプリングは世界中で作られており、何を入れてもどこかの郷土料理に当たるだろう。中央アジアではクミンを入れた具もあったはず。

togetter.com

棒を切って伸ばす

皮と具が揃ったら包む。一人が皮作り、もう一人が包み担当。長い棒状にした生地を1cmくらい切り出してのし棒で円形に広げる。それを包み担当に渡して具を入れてもらう。ある程度数が揃ったら煮るなり焼くなりご自由に。

蒸篭ほしい

自作した餃子の皮はとってもおいしかった。

🥚🥚🥚

大事なのは形にこだわらないこと。工業製品じゃないのだから綺麗な円形の皮にする必要はないし、包むときもギュッと握るだけで良い。雑な形の焼売とか小籠包みたいなイメージ。日本の標準的な餃子は細かいところにこだわりすぎている。もっと雑でよい。

皮と具の比率も重要で、皮7に対して具3くらいが良いように思う。自作した皮はそれだけで食べられるほどおいしいので、もっと比率を増やしても大丈夫。その代わり加熱が時間かかるようになるから蒸し餃子か水餃子にするのが良さそう。

7/21(日)

数十年モノのホットプレートを買い替えるべくヨドバシへ。インターネットで調べてあたりはつけていたが、家電をエイヤで買うと失敗することが多いので現地でいろいろ比較した。失敗したことがある。
有能ヨドバシ店員はなぜかいなかった。自分で勝手に見ていく。おしゃれ家電系のものもあれば、板一枚でフチがない変なホットプレートもある。脂や具材が飛び散って実用的ではないが、インスタ映えはするのだろう。見た目に全振りする宗派もあろう。

grill.abien-jp.com

そうやって比較をしたうえで、やはり象印がよかろう、となった。深型の無骨で洗練されたデザインのもの。我が家はお好み焼きやプロフ、その他いろいろに使うためある程度のサイズが必要。大きめにした。

www.zojirushi.co.jp

アタッチメントは一切つけずにプレート一枚のものにした。ホットプレート業界ではどの商品にも焼肉とたこ焼きのアタッチメントがついている。そんなにもたこ焼きを作りたいものなのだろうか?私にはよくわからない。

🌡🌡🌡

自宅に集中ブースを作った。通称: 独房。一畳くらいしかスペースがなくて机と椅子しかないから。ここで読書や原稿をやる。

アンチ・パノプティコン

きっかけは妻氏の夜更かし。妻氏は夏コミに向けて漫画原稿を進めているのだが「昼は捗らない」と言って夜更かしをする癖があった。土曜日の夜なんか四時か五時まで起きて絵を描いている。人がいなくて静かだと捗るらしい。夜更かし癖には私も慣れていて、夜更かしをすることを前提に家事とか行事を組むのでなんとかなっていたのだが、妻氏の体調には良くないのが課題だった。

そこで独房である。納屋に60cm四方のスペースを無理やり作って古いダイニングテーブルをねじこんだ。余っていた椅子を置いたら原稿しかできない独房の完成である。
あまりに狭いので窮屈かと思いきや、むしろ集中できるらしい。塾とか学校の図書館にある勉強ブースみたいなものなのかもしれない。何もなくて狭いのが大事。他にも読書や原稿、事務作業にも良さそう。一家に一つ、牢屋があると捗る。

7/22(月)

あんまり元気がなかった。

自分の出したコードが異常ケース(バグではない)を踏みまくってアラートがたくさん。それと同時に急ぎのコーディングをしてたら21時に……。

🍵🍵🍵

妻氏は独房を気に入り作業がたいへん捗るようになった。あと一週間はかかると思われた下書きおよびネームが二日で終わってしまう。これまで平日はうだうだしてたのに作業が捗るなんて。締め切り前効果はあるけれども、人目のない孤独な環境はそれほど大事らしい。私も読書や原稿が捗らないときは独房で刑に服するのが良さそうだ。

🍵🍵🍵

同僚たちによると小学生はそろそろ夏休みだとか。いいなあ夏休み。
今の共働き家庭の小学生は学童保育とやらへ行くらしい。夏休みであろうと両親は働いているので、低学年であるうちは誰かが面倒を見なければならない。そのために地域の学童保育施設があり、子供らを集めてレクリエーションや宿題をやらせるのだそうな。
そして高学年になったら塾が学童の代わりになる。家によっては。結局のところ、子守りリソースをお金で買う仕組みになっているようだ。専業主婦の前提もなくなり、地域のコミュニティも希薄化した。たしかにお金を出して人工的な子守りコミュニティを作って運営するしかないのだろう。

7/23(火)

睡眠が悪くて気力なし。風呂で無限にショート動画を見ようとして正気に戻った。ショート動画は麻薬みたいで怖い。疲れてると無限に見てしまう。XにもYouTubeにもあるし、ショート動画を見始めたらついついスワイプしてしまう。おそろしいUIだ。中身がない動画でもテンポとUIさえ良ければ見続けられるあたり、人間の快感回路を効率的に刺激するのだろう。見始めたらダメ。どうせ動画で時間を浪費するならちゃんと手間をかけて作られた料理動画が良い。料理は観察によって学ぶところが多いから。

🐙🐙🐙

あまりに暑いので35℃を超えてたら外に出ないルールを作った。やむをえず通勤をする日であっても35℃を超えてたら自転車には乗らない。電車か何かにする。
そう決めて天気予報アプリを開いたら、8月は毎日35℃以上になることがわかった。

どうやって生きていこう

7/24(水)

睡眠がやや良くて仕事に集中できた。うおーっとコーディングをして夕方に力尽きそそくさと退勤する。

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ホヨバースのゼンレスゾーンゼロというゲームをやっている。特に世界観に惹かれたわけではないのだが、ふだん原神をやってないような人まで褒めていたから気になって。
出来は良いと思う。グラフィックも綺麗でUIもわかりやすい。まだ第一章まで終わらせただけだが、シナリオもおもしろかった。ただ没入して入れ込むようなものではない。あくまでグラフィックが中心のゲームである。

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📺📺📺

模様替えをした。我が家のリビングには机二つとダイニングテーブルと椅子五つがある。机は作業用で、それぞれ原稿や仕事をやる。家業に漫画制作があるので机は必須だ。私は在宅勤務もするのでそういう意味でも。ダイニングは食事と読書をするところ。だらけるところ。これもこれで必要だ。
もちろん狭い。机を向かい合わせにしていたのだが、ダイニングも机島のそばにおいていて通路がほとんどなかった。

家が広くなり視線が気にならなくなる配置

模様替えをしたのは机の配置。向かいわせだったのをL字に置くようにした。動かしたのは妻氏の机で、これまで台所やトイレへの通路に背中を向けていたのを、本棚を背にするようになった。これは独房が集中できることを発見した影響である。背中に目線がないとあらゆる作業が捗ることがわかり、机を回転させたいモチベーションができたのである。

家具配置の原則にもかなっている。あらゆる大きい家具は壁に沿わせるように置くのが効率的だからだ。机は壁にディスプレイを向けるように置くこと。そうすると、人目を気にせず作業ができるようになるし、家も広くなる。

7/25(木)

あまりに疲れて夕食後にソファで一時間半寝る。

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同僚と真面目に設計の議論をしているとき、髪の毛をてきとうに抜いてみたら白髪だった。お、珍しいと思って「みてみて抜いたら白髪に当たったんですよ」と喋ろうかと思ったが、自制してやめた。たまに自制せずに文脈をぶち破った話を(よく)し始めるのだが、相手はポカンとして数秒停止するのでやめたほうがよい。自制できた記念日です。うむ。どう考えてもやめたほうがいい。

ちなみに白髪はほとんどないです。スーパーレア

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イナダ氏の『料理人という仕事』を読んだ。ちくまか何かのウェブ媒体で連載されていたエッセイを改稿したもの。テーマは料理人として生きていくのに必要な諸注意。料理人に特殊な気をつけるポイントもあるが、一般的にお仕事をするうえでためになる話も多かった。実は雑用が大事だよ、とか。雑用はやりようによってはクリエイティブな仕事である。雑用がつまんないのはやり方と捉え方の問題が大きい。
「飲食業界がホワイト化するなかで、自分から質問をしにいかないとスキルが得られなくなっている」という警鐘が鳴らされていた。ぼーっとしていたら「何やってんだお前」と怒声が飛んでくる時代は終わっていて、その反面ダメな人はずっとダメなままだよ、という話。これも飲食に限らずあるあるな話だ。「とりあえず少し我慢してやってみて」が言いにくい風土ができてきている。社会が優しくなった結果、スキル格差は広がる。

7/26(金)

まったり在宅労働かと思ったら重大なバグを見つけてしまい21時退勤になる回。

🍚🍚🍚

ゲームさんぽというYouTubeチャンネルがゼンレスゾーンゼロについて批評する動画をみた。ゲームデザイナー曰く「細部の磨き込みに異常にコストがかけられているが、全体として破綻なく、抑えるところはちゃんと抑えている」とのこと。つまり通常のゲーム開発においては「コストがかかるからそこそこの見え方で妥協しよう」と判断するところに多大なコストがかけられているということ。端的に言って人海戦術の結果ではあると思うのだが*1、そもそも中国大陸の文化*2として、細部の磨き込みが上手という話がある。私が読んだことのある本では「こういう精密な作業をやらせると中国の学者というのは大したものだし、またそれを実に楽しそうに、生き生きとやっていることにも感銘する」(『中国の大盗賊』p.175 高島俊男)とか「大根を龍のヒゲのごとくに細く切り、九蒸九晒、つまり九度蒸しては九度干すといった複雑な工程を踏んだ後に(略)」(『中国くいしんぼう辞典』p.312 崔岱遠)というようなエピソードがある。なぜそういう文化になるのかはわからないが、とにかく忍耐を要する細かい作業が得意らしい。おそらく、ゲームの細部のビジュアルも同様の精神で磨かれているのではないか。

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リンク集

anond.hatelabo.jp

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今週見つけた地味によい増田たち。

www.sirogohan.com

酢の物に興味が出てきた。

news.livedoor.com

料理は香りを残すのがむずかしいんだよなあ。

すき家となか卯ってどう思いますか? この2つ、というかゼンショーの各社って、まさに日本の最適解を体現した外食産業群だと思うんですがいかがでしょうか? | mond

松屋のネギ塩豚カルビ丼ばかり食べてた時期があります。

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昭和96年シリーズ

*1:中国都市部では若年失業率が高い

*2:台湾にも引き継がれている可能性はあるが、台湾でもそうなのかは知らない